皆さんこんにちは、COです。
前回は、貸借対照表(BS)の各項目について、代表的なものを紹介しました。
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今回は実際に貸借対照表を見る際のポイントとして、企業の倒産リスクを把握する「流動比率」「自己資本比率」について確認していきます。
流動比率 流動資産と流動負債の関係

ここでは、流動資産と流動負債について確認します。
- 流動資産 ⇒ 1年以内に現金可能な資産
- 流動負債 ⇒ 1年以内に返済が必要な負債
例えば、以下のような2つの企業があったとします。

見比べてみて、いかがでしょうか?
バランスを比較したときに、以下の点が大きく異なります。
A:流動資産>流動負債
B:流動資産<流動負債
つまり、Bは1年以内に現金化可能な資産より、1年以内に返済が必要な借金の方が大きいことになります。
端的に言えば、返済が必要な金額よりも、手持ちの現金が少ないことになります。
つまり、資金繰りが苦しい状況です。
このようなケースは中小企業やスタートアップに多いかもしれませんが、企業が健全性を見るにあたって必要な観点です。
このような資金繰りを評価する指標として使われるのが「流動比率」です。

流動資産 ÷ 流動負債 × 100 = 流動比率(%)
100%ちょうどでは、借金返済ができても、手持ちの現金が一切なくなることとなります。
安全な領域としては、一般的に150%と言われています。
流動資産の中身に注意!
ここで注意すべきは、流動資産は全て現金ではないという点です。
流動資産には、現金や預金、有価証券(株式など)、売掛金、棚卸在庫など、いくつか代表的なものがありますが、簡単に現金化できるでしょうか?
現金・預金以外の項目は、現金化の難易度や必要な期間がそれぞれ異なります。

現金や有価証券などが太宗を占めていれば良いですが、
流動資産のほとんどが棚卸在庫であった場合、「在庫を売らなければ現金が手に入らない」こととなります。
こうなると、流動比率は健全に見えても、実は現金の手持ちは非常に少なく、負債の支払いに対応できないケースがあります。
また、売掛金なら大丈夫かと言うと、そうではありません。
売掛金の収入が得られるタイミングよりも、負債の支払いタイミングが先に到来してしまう場合、支払いに間に合わないケースが想定されます。
これが、黒字倒産と言われるもので、例え利益が出ている会社だったとしても、手持ちの現金が底をつき、倒産してしまうことがあるのです。
では、貸借対照表からは、倒産リスクは見て取れないのでしょうか?
自己資本比率
貸借対照表を見るうえでの観点の一つに、自己資本比率があります。
これは、企業が保持する総資本の内、自己資本、すなわち他人からの借り入れ以外の比率を示します。

純資産÷総資本×100=自己資本比率(%)
これが高いほど、借金に頼らない経営をしていることになりますので、倒産のリスクは低いと言えます。
一方、企業経営の上では、他人資本の活用は不可欠です。
特に、ホテルやレストランなどの不動産が必要な業態などは、自己資本比率が20%程度と低い傾向にあります。
他方、サービス業やIT系は、固定資産が少ないため、自己資本比率が40%~50%など、高めの水準となります。
参考に、無借金経営を推進している任天堂の貸借対照表を見てみましょう。

出展:https://www.nintendo.co.jp/ir/library/earnings/index.html
なんと、貸借対照表に有利子負債が無く、自己資本比率80%と非常に高い水準です。
このように、中には自己資本比率が非常に高い企業も存在しますが、通常は20%~50%程度の水準に落ち着くケースが多いです。
まとめ
今回は、貸借対照表から見て取れる「流動比率」と「自己資本比率」について確認しました。
この二つの観点で、とりあえずその企業が倒産リスクをはらんでいるか、確認することができます。(これだけでは不十分ですが)
ただ、 それぞれの指標の意味と貸借対照表の図をイメージすると、何となくわかり易いですよね。
引き続き、ビジネス財務について紹介していきます!